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異業種参入のアイリスオーヤマはスマート家電の“解”を出せるか



 アイリスオーヤマの家電戦略が加速している。11月5日には同社初の液晶テレビを発表し、デジタル家電分野に参入。11月8日には、スマートスピーカーと連動する家電としてLEDシーリングライトとLED電球を発表した。

家電事業を急速に拡大しているアイリスオーヤマがスマートLEDシーリングライトと電球を発表。スマート家電普及の糸口となるか

 アイリスオーヤマ単体の2017年の売上高は1420億円で、そのうち家電事業の比率は46%を占める。家電事業参入は09年なので、その間はわずか10年足らず。計画では18年に56%と半分を上回る見込みだ。先述した液晶テレビのように新規分野への参入も活発だが、最も高いウエイトを占めているのは、11年に参入した照明事業。カテゴリが多分野になったことで比重は下がっているが、18年計画ではいまだ家電事業の約半分の売上は照明事業によるものだ。

アイリスオーヤマの売上高における家電事業の比率は年々高まっている。LEDはそのなかでも最も高いウエイトを占める

 市場全体でも存在感は増している。全国の家電量販店やECショップの実売データを集計する「BCNランキング」によると、アイリスオーヤマのLED電球・蛍光灯の販売台数は17年に首位パナソニックに肉薄する2位。今年は11月4日時点で首位に立っている。0.9ポイント差と接戦で年が明けるまで1位を維持できるかはわからないが、長らく不動の1位だったパナソニックの牙城を崩そうとしていること自体が特筆すべきトピックといえる。

 アイリスオーヤマの調べでは、LEDの普及率はシーリングライトで35%、電球で55%。従来の白熱電球を利用する家庭はまだ多いが、自治体の後押しもあり、これから数年で普及率は一気に上がることが予想される。今回、発表したスマートスピーカー連動のLEDシーリングライトとLED電球も、先々の伸びしろを期待してのものだ。

LEDの普及率はまだ低いが、これから数年で一気に伸びることが予想される

 スマートスピーカーやスマートフォンから操作できるLEDシーリングライトやLED電球はすでに他社から発表されているカテゴリーだが、後発の強みを生かしたユーザー目線の設計で拡大を図る。例えば、無線LAN内蔵という方式。スマート電球の先駆けであるフィリップスの「Hue」シリーズはネットワーク接続にハブを必要とするが、アイリスオーヤマの製品は単体で接続可能。ハブの購入コストがかからず、初心者にとっては導入ハードルが低い。

11月30日に発売する「スマートスピーカー対応電球」と、12月10日に発売する「スマートスピーカー対応LEDシーリングライト」

 また、ネットワーク連携機能を搭載したシーリングライトについては参入メーカーがまだ少なく、多機能のプレミアムモデルという立ち位置の製品に偏っている。そのため、1万円台から手に入るとなれば、消費者へのアプローチもしやすい。

 豊富なラインアップからも市場拡大への意欲が感じられる。形状で2種類、それぞれに調光タイプと調光/調色タイプを用意。適用畳数別も含めると、8機種の制―リングライトを揃える。(電球は調光、調光/調色、調光・RGBW調色の3タイプ)。

 懸念があるとすれば、スマートスピーカー市場の伸び悩みだ。調査会社Canalysは、世界全体でスマートスピーカーの出荷台数は18年に前年比で約2.5倍に伸び、その後も継続してい成長すると予測するが、日本は他国と比べて動きが鈍い。

 家電開発部の小野恭裕マネージャーも「当社のスマート家電の第一弾である17年4月に発売したWi-Fi内蔵エアコンは伸び悩んでいる」と、市場開拓の難しさを語る。それでも第2弾に踏み切ったのは「連携する家電が増えることが、スマート家電が成長するために不可欠」だからだ。値ごろなシーリングライトや電球であれば、エアコンとは異なる反応がみられるのではないかという目算もあるだろう。

17年4月に発売したWi-Fi内蔵のルームエアコン

 アイリスオーヤマは家電開発コンセプトに「ユーザーイン発想」を掲げている。ユーザー目線という方針自体は珍しくないが、ここ数年の快進撃はこの目線がズレていないことの証明でもある。ユーザーに受け入れられるスマート家電の提案は、いま家電メーカー各社が頭を悩ませている最大の問題。異業種から参戦した同社は、この問題に解を出することができるだろうか。(BCN・大蔵 大輔)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などのPOSデータを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。



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