最新Androidの実力を強く感じさせる「Pixel 3」「Pixel 3 XL」
Androidを牽引するGoogleが開発に関わった、いわばAndroidスマートフォンのリファレンス機となる「Pixel 3」「Pixel 3 XL」。日本でも販売がスタートしました。「Pixel 3」の価格はソフトバンクが販売する機種で9万8400円から。「Pixel 3 XL」は11万9520円から。価格帯も、スペックも、ハイエンドスマートフォンと呼ばれるカテゴリに含まれるモデルです。
11月1日に国内販売を開始する「Pixel 3」「Pixel 3 XL」
日本発売モデルはFeliCaに対応するなど、日本のユーザー事情に合わせたカスタマイズがされています。OSは最新のAndroid 9 Pieを採用。より洗練されたユーザーインターフェースをもつモデルに仕上がっています。
「Pixel 3」「Pixel 3 XL」の全体像
「Pixel 3」「Pixel 3 XL」の共通点からチェックしていきましょう。SoCはQualcomm製のSnapdragon 845。CPUコアはKryo 385 Gold(最大2.5GHz)4コア+Kryo 385 Silver(最大1.6GHz)4コアのオクタコア。GPUコアはAdreno 630で、各社ハイエンドAndroidと同じポテンシャルを持ちます。ストレージは64GBまたは128GBが選択可能。メモリは4GB。詳細は後述しますが、インカメラ、アウトカメラ共に性能は同じです。
USB端子はポピュラーになってきたUSB 3.1 Gen.1 Type-C。底面部にはSIMスロットも装備
microSDカードスロットがないため、外周はシンプル。カラバリのClearly Whiteの電源ボタンはライトグリーン、Not Pinkは濃いめのピンクがアクセントに
「Pixel 3」「Pixel 3 XL」の違い
「Pixel 3」は2160×1080ピクセルの解像度をもつ5.5インチディスプレイを用いたモデルで148g。「Pixel 3 XL」は2960×1440ピクセルの解像度となる6.3インチディスプレイ採用モデルで184gです。画面の大きさの違いによる、2モデル構成となっています。
極力狭いベゼルを実現するために、「Pixel 3 XL」の上部にはノッチがあります。ソフトウェア的に隠すことが可能です。バッテリーは「Pixel 3」が2915mAh。「Pixel 3 XL」が3430mAh。ボディサイズ差がバッテリー容量の差にもつながっていますね。
6.3インチの「Pixel 3 XL」は上部にノッチを採用
高画質でデジタルズームも高品質なリアカメラ
カメラ性能の重要性が高まってきている現代のスマートフォン。「Pixel 3」「Pixel 3 XL」も、カメラの高性能さを強くアピールしています。画素数は1220万画素ですが、レンズはf1.8とライバル機に負けず劣らずの明るさ。光学式手ぶれ補正機能も備えています。
またオートフォーカスが速く、近い距離にもピントが合うために広角マクロ的な使い方も可能。シングルカメラゆえに望遠撮影は弱い……と思いきや、デジタルズーム時は高速で撮影した複数枚の画像を重ね合わせてピントのシャープさを維持する超解像技術を用いています。
デジタルズーム時の画質はいかほどなのが、実際に確認してみました。
上から光学1倍、デジタル2倍、3倍、4倍、5倍の画像です。撮影画像をパソコンに転送して大型のディスプレイで確認すると、細部のディティールには甘さが見えます。しかし、スマートフォンのディスプレイで見る限りデジタル3倍、いや4倍くらいでも常用できると感じませんか。
背景を自然にボケさせるポートレートモード
超解像技術は背景を後処理でボケさせるポートレートモードでも使われているようです。
上がボケなし。下がポートレートモードによるボケありの画像です。直線の多い被写体ですが、ボケとの境目は全域にわたってシャープ。メインとなる被写体までの距離を正確に計測できないとこうはいきません。
またボケの形も自然ですよね。背景がごちゃごちゃとしたシーンであっても「Pixel 3」「Pixel 3 XL」は違和感なく滲みを追加します。
ご覧ください。メインの被写体である肉には全体的にピントを合わせたまま、その奥は自然なグラデーションでボケさせています。
ターゲットはシャープに、背景はなだらかにボケさせる実力があるということは、テーブルフォトも得意だということ。
確認した限り、どのような被写体も明るめの露出で撮影するようでした。食品の発色が重要なテーブルフォトにおいて、このAEの方向性は正しいものといえます。
誰でも美しい夜景写真が撮れるNight Sight
Night Sight機能を使った夜景写真も実に映えるものです。光の強い場所はできる限り白飛びさせないように、同時に暗部も極力持ち上げることで、フラットな写真に仕上げてくれます。
手持ちでこれだけの夜景写真が撮れるようになるとは、スマートフォンカメラの進化には恐れ入りますね。
失敗のない写真が撮れるトップショット
撮影した瞬間、レンズに指がかかっていたり、髪の毛がブワッと広がり過ぎてしまったりと、せっかくの決定的瞬間を逃してしまうことってありますよね。
シャッターを切る前後の画像も記録するトップショット機能が付いている「Pixel 3」「Pixel 3 XL」なら大丈夫です。数枚~十数枚の撮影画像の中から、もっとも綺麗に撮れている写真が選べるのですから。しかも「Pixel 3」「Pixel 3 XL」側がレコメンドまでしてくれます。
シャッターを切る前後の画像を記録し、レコメンドしてくれるトップショット機能を搭載
「Pixel 3」「Pixel 3 XL」は、まるで写真の腕が上がったかのように思わせてくれるスマートフォンです。ストレスを感じないから、撮影がもっと楽しくなりますよ。
広角で被写体にぐいっと寄れる前面デュアルカメラ
主に自撮りに使うフロントカメラは800万画素/f1.8、800万画素/f2.2のデュアルカメラとなっています。標準レンズは画角が75°、広角レンズは97°となっており、広角なら近距離からでも複数の被写体を余裕をもって撮影することができました。
自分だけではなく家族やパートナー、友達が入った写真が撮りやすいように、広角レンズを装備しているんですね。
ハイエンドスマートフォンはリアカメラ側をデュアルカメラ、トリプルカメラとしたモデルが大半ですが、「Pixel 3」「Pixel 3 XL」はフロント側がデュアル。Googleが自撮りを重要視していることが伝わってきますね。
Google最新サービスと密接に連携している
「Pixel 3」「Pixel 3 XL」の発売に合わせて、Googleレンズが日本語に対応しました。このサービスはスマートフォンのカメラで捉えた被写体の名前や所在地、関連商品などを表示してくれる機能です。
試しにミニカーを撮影したところ、1発で車種名を表示しました。あえてアイコニックなフロントではなく、似たようなアウトラインが多いサイドを撮影したのですが大当たりです。
カメラで捉えた被写体の名前や所在地、関連商品を表示するGoogleレンズに対応
外国語だって即、日本語に変換してくれます。他にも食材を撮影すると適切なレシピを教えてくれるなど、ユーザーのしたいことをAIが察知して適切な情報を表示してくれるのです。いちいちモードを切り替える必要はありません。
AIによる翻訳機能も優秀!
また本体をギュッと握ると、Googleアシスタント画面が表示されます。片手でも手軽に操作できるように、極力指を動かさずに済むようなユーザーインターフェースとなっています。
“握り”の動作でGoogleアシスタントを呼び出すことも可能
Googleの考えるモバイルインターネットの姿がここにある
ベンチマークアプリや画像編集アプリ、超高画質な3Dゲームなど、スマートフォンの実力を赤裸々にするテストを行うと、「Pixel 3」「Pixel 3 XL」よりもハイレスポンスなスマートフォンがあることに気がつきます。
しかし、Googleはそれでもいいという考えなのかもしれません。トップスピードを求めるよりも、コンスタントな巡航スピードと、バッテリーライフのバランスを重視したのではと感じます。
事実、満充電時から使い続けた時、「Pixel 3」「Pixel 3 XL」はライバル機よりも長い14~15時間ほど動画を再生し続けることができました。またライバル機よりパフォーマンスが下がるとはいっても、日常的な使い方であれば全く問題ないし納得できるスピードの持ち主です。
今や私たちの生活において、なくてはならない存在のスマートフォンです。「Pixel 3」「Pixel 3 XL」には1回の充電で極力長く使えるモバイル端末であってほしいという、Googleのメッセージが込められているような気がしています。(フリーライター・武者良太)