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日立、白物家電の統合新会社に求められるコト



 白物家電メーカーの日立アプライアンス(日立AP)は10月3日、既に1日にリリース発表した日立コンシューマ・マーケティング(日立CM)と合併し、来年4月1日に発足する新会社についての記者会見を開催した。日立APの社長を兼務する、日立製作所の生活・エコシステム事業統括本部の徳永俊昭統括本部長は「生活ソリューションカンパニーの誕生として捉え、社会構造の変化やお客さまの生活のデジタライゼーションに対応していく」と、今回の合併の狙いについて語った。

 新会社の商号はまだ決まっていないが、日立グループの売上高9兆3686億円のうち、新会社が担う生活・エコシステム事業は5401億円、構成比で5%を占める。全体からみれば金額規模は小さいものの、徳永統括本部長が「グループの中で重要なポジションにある」と語るのは、顧客が家庭で生活や家事をする上で、白物家電はタッチポイントとなり、そこで得られるデータが、日立グループのクラウドIoTのプラットフォームである「Lumada(ルマーダ)」とつながることで、新しい生活ソリューションが創出できると考えているからだ。

 そのためには、これまでのような工場のある事業部で大量生産した製品を、販売会社を通じて全国に浸透させるというプロダクトアウトの思考ではなく、顧客発想を起点とする商品企画から設計、製造、販売、保守・修理に至るまでのバリューチェーンを統合し、変化に即応できる事業体に変わることが求められる。

 親会社の日立製作所は18年2月に、日立APと日立CMが製販一体で取り組んで、多様化する消費者ニーズに対応するプラットフォーム構想を発表した。今回の発表は、両社が名実ともに一体化することで、よりスピーディーに変化に即応できる仕組みにしたということ。新会社の従業員数は、日立APの約8300人と日立CMの約3000人を合わせた1万1300人体制となる。

●スタートしたばかりのLumadaとの連携

 肝になるのは、Lumadaと白物家電の連携となる。Lumadaは、日立の家電に特化したものではなく、他社の家電製品とつながったり、外部パートナーとも連携するオープンなプラットフォームづくりを目指している。

 このプラットフォームで生まれるサービスを通じて、「例えば、シニアや共働き世帯向けのコミュニケーションロボットを開発して、近い将来に提供していきたい。スマートシティやスマートホームにも積極的に取り組んでいく」と徳永統括本部長は語る。

 同日に発表した、洗剤の種類や水の硬度、温度、布の質などを判断して自動で洗濯コースを選ぶ「AIお洗濯」機能を搭載した「ヒートリサイクル 風アイロン ビッグドラム」では、多数のセンサーを活用したセンシング技術でスマート家電を実現しているが、まだLumadaとは接続されてない。この点では、日立が掲げる「コネクテッド家電」に向けて、第一歩を踏み出したばかりといえるだろう。

 ただし、日立が定義するコネクテッド家電のもう一つの側面である、毎年のモデルチェンジでハードウェアの付加価値が向上する白物家電ではなく、ソフトウェアのアップデートで家電の使い勝手が顧客ごとの細かいニーズに進化していくという点では、新たにスマートフォンの専用アプリ「ビッグドラムアプリ」を用意して、多彩な洗濯コースを本体に3つまでダウンロードできるようにし、本体側のセンシングのプログラムが更新されるといった機能を搭載した。

 Lumadaとの連携について徳永統括本部長は、「コネクテッド家電がスマートフォンで操作できるのは、お客さまの操作性を上げる点では重要だが、それだけで生活のお困りごとが解決できるかといえばまだ十分ではない。データを集めて、お客さまが明示的に指示を出さなくても寄り添うことができるようになればいいが、そこはお客さまのニーズをうかがいながら段階的にアプローチしていきたい」と答える。

 新会社が新しい生活ソリューションとしての革新的なサービスを創出するためには、Lumadaと白物家電の連携が必須となり、そのためにクリアすべきハードルはまだ高そうだが、電力や鉄道などの社会インフラまで手掛ける日立グループの総力が活用できる点は、国内家電メーカーのなかでも大きなアドバンテージがあるといえるだろう。(BCN・細田 立圭志)



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