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本体の50倍もする「ケース」が売れるワケ、ITOYA110 ペンジャケット



 文具店の店頭で異彩を放つペンを見つけた。「ITOYA110 ペンジャケット」だ。持ちやすい重さと太さ。質感の高い金属性のボディ。光沢のある赤やマットブラックの本体。そして現代的なシャープなデザインが特徴だ。

 言わずとしれた文具の老舗、伊東屋のオリジナル商品。キャップを開けてみると、見覚えのあるペン先が現れた。サインペンだ。まさかと思って分解すると、中から「ぺんてるサインペン」の本体が出てきた。商品名に「ジャケット」とあったのは、既存のペンの「ケース」という意味だったのだ。税込価格は5400円。サインペンとしては破格の値段だが、そのその形に魅入られてしまい、即買いした。

「ITOYA110 ペンジャケット for サインペン」。写真の赤と黒のほか、白、紺のカラーがある。思わず手に取りたくなる素敵なデザインが目を引く

 2016年の秋、伊東屋とぺんてるのコラボで誕生した。「ペンの軸」として使われているのが、おそらく誰もが1度は使ったことがあるだろう「ぺんてるサインペン(S520)」。価格は108円。つまり108円の本体に5400円の高品質「ケース」をつけたことで、実に50倍の価格の「超付加価値商品」に生まれ変わったわけだ。

 伊東屋の広報によれば「価格が価格だけに、当初はあまり売れるとは思っていなかった。しかし発売すると直後にすぐ売り切れてしまうほどの売れ行き。特にマット調の黒が人気で、発売から1年半経った今でも品切れになることも珍しくない。予想の2倍以上は売れている」という。

 ぺんてるのサインペンは1963年に発売され、50年以上もの歴史がある定番中の定番。高い品質と使いやすさ、手ごろな価格もあって、現在まで広く使い続けられている。これに重さと太さを加えて使い心地を向上させ、持つ喜びが感じられるデザインを施して新たな命を吹き込んだのが「ITOYA110 ペンジャケット」だ。サインペン用の「for サインペン」に加え、ボールぺんてる用の「for 水性ボールペン」、プラマン用の「for プラスチック製万年筆」と3つのバリエーションがある。それぞれ別売りの調整リングを付け替えることで、3種類のぺんてる製ペンを格納することが可能だ。

「ITOYA110 ペンジャケット for サインペン」を分解してみた。一番上が「軸」として使われているぺんてるサインペン。キャップなしの本体が中に入っている。組み立てると全くぐらつきはなく、書き心地はとてもいい。一番下が、比較のために置いたオリジナルの「ぺんてるサインペン(S520)」。どこにでも売っている定番商品だ

 PCやスマートフォン、テレビにカメラなど、デジタル製品のスペック上の進化は緩やかになり、多少のスペック進化では製品は売れなくなってきた。一方で、よりよい製品を求める消費者は増え、単価が上昇している製品も少なくない。問題なのは、必ずしも「よい=高機能」とは限らないことだ。置き去りにされているのは感性の部分。基本的な機能を満たす108円の製品に、5400円のケースをつけて高い付加価値を生み出すという考え方には、学ぶところが多い。(BCN・道越一郎)



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