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10代の活躍にITの明るい未来が見える、U-22プログラミング・コンテスト2017



 10月1日、東京・秋葉原の秋葉原コンベンションホールで「U-22プログラミング・コンテスト2017」の最終審査会が開催され、今年の受賞者が決定した。過去最多の応募数となる334作品から選ばれた受賞作品には、商用プロダクトに迫るハイレベルな作品ばかりが揃っていた。

 U-22プログラミング・コンテストは、すぐれた人材の発掘・育成を目的に、22歳以下の若者を対象に開催するコンテスト。今年で38回目の伝統あるコンテストだ。前身は経済産業省が主催する「全国高校生・専門学校生プログラミング・コンテスト」「U-20プログラミング・コンテスト」で、2014年に運営事務局がコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)に移るとともに、対象年齢を22歳以下に拡大した。昨年は歴代最多の252作品(参加者総数770名)が集まったが、今年はさらに大きく上回る334作品(同1236名)が寄せられ、コンテストの規模・質が一層向上した。

 開発するソフトウェアのジャンルは問わず、IoTソリューションやプログラミング言語から、ユーティリティ、ゲームに至るまで、さまざまな作品が集まった。応募者は制作したプログラムファイル一式に加えて、実行動画、ソースコードなども提出する必要があり、これらすべてが審査の対象となる。評価ポイントは、有用性や芸術性、ビジネスの可能性などの「プロダクト」、アルゴリズムや機能性などの「テクノロジー」、独創性や将来性などの「アイデア」だ。

 この日の最終審査会には、8月から9月にかけて行われた事前審査と一次審査を通過した16作品が登場した。最終審査では、一般公開されている会場で制作者自らがプレゼンテーションを行い、実行委員・審査委員からの質疑に対応しなければならない。作品自体の質に加えて、見どころや技術的な工夫点をどれだけ印象づけられるかも重要になっている。

●実用性・将来性に優れる4作品が経産大臣賞に輝く

 16作品のプレゼンテーションと最終の審査を経て、各賞の受賞作品が決定した。特に優秀な作品に授与される経済産業大臣賞は、「総合」「プロダクト」「テクノロジー」「アイデア」の4カテゴリでそれぞれ受賞作が発表された。

「総合」で受賞したのは、立教新座高等学校・OMNISCIENCEチームが制作したゲームソフト「Draw Near」。漂流する宇宙船の中でサバイバル生活を行うSFゲームで、他の漂流船や惑星の探索、獲得したアイテムを使った船の拡張、3D空間での戦いなど、多くの要素をバランスよくまとめ上げた点や、クラウドを介したデータ連携によってPCでもスマートフォンでも楽しめる点など、企画・技術から完成度まで、いずれの面でも高い水準にある作品として評価された。制作には夏休み期間をほぼすべて費やしたそうで、審査委員からは2人の高校生がわずか数か月でオリジナルの本格ゲームを完成させたことに驚きの声が上がった。


=審査委員長の筧捷彦早稲田大学名誉教授からトロフィを受け取った
OMNISCIENCEの2人と、作品「Draw Near」のプレイ画面

「プロダクト」で受賞したのは、埼玉県立越谷総合技術高校情報技術科29期生で、現在大学生の固有スキルせんたく板チームがつくった「Circuitor」。電源や抵抗、LEDなどを使ったアナログ電子回路のシミュレータで、回路をPC上で設計し、電流の向きや強さを視覚的に確認できる。チームメンバーが高校の授業で回路を組んだ際、設計を誤ってパーツを破損させてしまったことから、電子工作の初心者が実物の回路を作る前に、机上でその動作を確認できるようにと開発した。これには、「教育現場ですぐにでも使いたい」という感想が寄せられた。


「Circuitor」のプレゼンテーションを行う固有スキルせんたく板チーム

 テクノロジーが特に高く評価されたのが、小石川中等教育学校(後期課程)・小川広水さんのプログラミング言語「scopion」だ。自分のプログラミング作業をもっとらくにしたいという動機で開発した言語で、通常は開発者が書かなければいけないコードを自動的に推論で導くなどの特長をもっている。また、単に省力化を図るだけでなく、PC上に環境を構築しなくてもクラウドにアクセスするだけで開発ができる仕組みや、継続的にソフトウェアの品質向上を図るための最新手法を導入しており、若干16歳のプログラマーがもつ視野の広さに会場は圧倒された。


小川広水さんは技術力に加え、クラウドやコンテナ技術など最新ITへの見聞の広さでも会場を驚かせた

 アイデアのカテゴリで受賞したのは、早稲田実業学校中等部・菅野楓さんの「narratica」。映画やドラマの脚本を入力すると、形態素分析を行い、登場人物の感情の起伏をグラフ化して表示する。菅野さんによると、大ヒットした作品にはシナリオの構成に一定のパターンがあるという。感情の起伏をデータ化することで、作家の感性だけに頼らないヒット作づくりが可能になるのでは、という思いでこのソフトウェアを制作した。ヒット作の秘密を探るため、宮崎駿監督を訪ねて教えを請うなど、チャレンジ精神も評価された。


日本からもハリウッド並みのヒット作を出したいとの思いで開発した
菅野楓さんの「narratica」

 コンテストの実行委員長を務めるサイボウズの青野慶久社長は、参加者に向けて「応募作品のレベルが年々底上げされていると感じている。プログラミングが必修になることで、いま大人は子どもたちにどう教えていけばいいのか模索している。しかし、すでに学んでいる皆さんは、大人たちを置いていって、どんどん先に実績をつくって社会を動かしてほしい」とメッセージを送った。若者がスター開発者として活躍することが、同世代にとって何よりの刺激になる。

 さらに、2020年の小学校でのプログラミング必修化を受けて、今年のU-22プログラミング・コンテストは新たに小学生部門を立ち上げ、13作品にCSAJ賞を贈った。プログラミングを学び始めたばかりの子どもにもコンテストに挑戦してもらいたい、もっとプログラミングを好きになってもらいたいという思いから設けたこの小学生部門は、これからのU-22プログラミング・コンテストのさらなるレベルアップを約束する動きだ。

参加者を激励した実行委員長の青野慶久サイボウズ社長

 経済産業大臣賞を受賞した4チーム/個人は、来年1月26日に表彰式を開催する「BCN ITジュニア賞2018」にノミネートされる。



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