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アマゾンの「独禁法違反被疑事件」を問う



 「公取委の価格拘束の目が、メーカーからネット通販企業に移ったということだろう。それだけでなく、今後は優越的地位の濫用も視野に入ってくるのではないか」――。 公正取引委員会は6月1日、アマゾンジャパンに対する「独占禁止法違反被疑事件」の処理について、審査を終了すると発表した。ある大手家電流通のトップは、公取委の目が台頭するネット通販企業に厳しくなっていることを象徴する出来事としてとらえている。

<POINT>

(1)公取委がアマゾンに独禁法違反の疑い
(2)厳しい目はメーカーからネット通販へ
(3)メーカーの「流通調査」は緩和の流れ

ITタスクフォースの目が光る



 今回の被疑事件を簡単に振り返っておこう。2015年10月頃と、17年1月頃、アマゾンジャパンがAmazonマーケットプレイスの出品者に対して、他社サイトや出品者自身のサイトで価格や品揃えの条件が異なっているのではないかとする調査を行っており、条件が異なっていることが判明した場合は、出品関連契約に「価格等の同等性条件」が定められていることを通知したり、説明することがあったとする。

 「価格等の同等性条件」とは、図にあるように他社の販売経路で販売する価格と同等、あるいはそれよりも安くする条件のことだ。公取委は、これが独禁法第19条(不公正な取引方法第12項[拘束条件付取引])の規定に違反する疑いがあるとして、審査を行っていた。審査部隊は、16年8月前後にアマゾンジャパンに立ち入り検査した際につくられた「ITタスクフォース」だった。


 例えれば、Amazonマーケットプレイスに出品する商品の価格が、競合である楽天市場やYahoo!ショッピングと同じか、それ以下であることや、同じく品揃えが同じかそれ以上であることとする条件が、契約に盛り込まれていたのだ。

 結果的にアマゾンジャパンは、出品関連契約から価格と品揃えの同等性条件を削除し、アマゾンジャパンの権利も放棄して行使しないことや、今後の契約でも同条件を定めないことを誓約して出品者に周知したうえ、3年間にわたり年1回、措置の実施状況を公取委に書面で報告するとの申し出をしたことで、審査は終了することとなった。

 なお、公取委は今回の件を「あくまでも出品者が出品するAmazonマーケットプレイスでの話で、アマゾンジャパン自らが一般消費者に販売するAmazon.co.jpのWebサイトとは関係ない」と語るが、自社でPB商品の開発・販売を手がける家電卸事業者の担当者は「出品者の価格がアマゾン自社の価格よりも安いまま放置するわけがないでしょう」と警戒を緩めない。また「ネット通販同士で価格がどんどん下がり続ける負のスパイラルをなんとかしてほしい」と、公取委のさらなる踏み込んだ審査に期待を寄せる。

ネット通販企業への目を光らせる公正取引委員会

 そういう意味では、今回の公取委の審査は、一般ユーザー向けのAmazon.co.jpのWebサイトに対するジャブと捉えることもできそうだ。いずれにせよ、公取委がネット通販企業に厳しい目を向けていることは明らかだ。「流通・取引慣行と競争政策の在り方に関する研究会」の報告書にも、「オンラインのプラットフォーム事業者などの新しいビジネスモデルが出現し、新たな競争上の問題点が今後も次々に生じると考えられる」と記されている。

メーカーは緩和?



 一方で、公取委はメーカーに対して緩和を進めている。制定から約25年が経過した「流通・取引慣行ガイドライン」を15年3月に改正し、その後も見直しをかけている。

 例えば、「正当な理由」があれば再販価格の拘束が認められたり、メーカーが示した価格で販売しない場合に、流通業者に出荷停止などの経済上の不利益を与えなければ、流通業者への実際の販売価格や販売先などの調査、いわゆる「流通調査」が問題にならないとする、従来よりも踏み込んだ規制緩和が行われている。

 冒頭の優越的地位の濫用も、かつてはメーカーが流通企業に対して行われた行為に公取委が目を光らせてきたが、その後は、リアル店舗を有し安売りによる価格破壊で台頭してきた小売・流通企業へ、そして今後はネット通販企業に目が向けられていく流れになりそうだ。(BCN・細田 立圭志)



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